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「暴力には屈しない」ドルトムントはチャンピオンズリーグ開催を決定

   

ホテルの駐車場を出た直後のことだ。その瞬間、チームバスが爆弾攻撃に見舞われた。3つの爆発物が爆発し窓ガラスは損壊。窓際の座席に座っていたマルク・バルトラは手首と腕を負傷。応急処置を受けた後、病院に搬送され手術が行われている。

事件の一報を知った時、私はドルトムントで何が起きているのかを簡単に理解することはできなかった。それでもただならぬ事態になったとだけ悟った。試合開始15分前にモナコ戦は中止が決定。ドルトムント警察は「BVBのチームを狙った攻撃」と明かしている。

チームを襲った卑劣な攻撃。幸いにもスタジアムでは何事も起きなかったが、選手たちが受けた心の傷は計り知れない。「チームもコーチ陣も言うまでもなくショックを受けている。気持ちを切り替えなければならないが、今夜の出来事を頭から追いやることは簡単ではないだろう」とヴァッケ社長は報道陣に状況を明かしたが、次のように答えた。「だが、ブラック&イエローのコミュニティーはこういった危機的状況で団結する」と。

「誰もフットボールについて考えられなかった」

現場で感じたことを率直に答えたのはGKのロマン・ビュルキ。事件直後の状況についてスイスメディアのインタビューに応じた。

「僕らは19時15分にホテルを出発し、ちょうど通りを降ったところだった。バスはメインストリートを下ったところで、大規模な爆発があった。僕はガラスの破片で負傷したバルトラの後ろの席に座っていたんだ」

「爆発の後、バスの床に伏せていた。何が起きているのか僕らには理解できなかったが、警察は迅速に対応してくれたし、安全だった。我々は全員ショックを受けていて、フットボールについて誰も考えられなかった」-ロマン・ビュルキ

#bedforawayfans

ドルトムントサポーターの対応は早かった。すぐさまツイッター上では#bedforawayfansというハッシュタグでツイート。試合が中止になり、一泊を余儀なくされたモナコサポーターに対し、ドルトムントサポーターが宿を提供するという粋な試みだ。

https://twitter.com/AS_Monaco/status/851920169987448832

https://twitter.com/florian_dubois4/status/852120670276288512

両クラブのサポーターが笑顔で机を囲む写真がツイッター上では広まり始めると、過去前例のないドルトムントサポーターの振る舞いに対し、驚きと共に多くの賞賛が集まった。そしてフットボールを通じてサポーターは連帯し、危機的状況の中で共に手を取り合えることを示して見せた。

イスラム原理主義者の犯行

事件から一晩開けた12日、連邦検察庁が記者会見を開いた。警察は容疑者2名のうち1名を逮捕。イスラム原理主義者(ISとの関連性は定かではない)による犯行であると示唆している。メモによると、アメリカ軍のシリアへの空爆に対する抗議活動であると記されていたが、最終的な評価は現時点では不可能であると断定を避けた。

爆発物の効果範囲は100mにも及び、その爆発物には金属釘が仕込まれていたようだ。実際、座席に刺さっていたのが発見されたと検察は公表。一歩間違えれば大惨事に繋がりかねない事件であり、これは明確にドルトムントに対して実行されたテロだ。チームを狙った卑劣極まりない行為に対し、腸が煮えくり返るような思いと、言いようのない哀しみが交差している。

「暴力に屈しない」

正常ではない状況下の中選手がプレーできるのかという疑問が存在するが、ドルトムントは試合開催を決定。通常のチャンピオンズリーグでの試合開始時刻を繰り上げ、日本時間13日1時45分から行うことを発表。ヴァッケ社長は公式声明を発し、クラブは暴力や恐怖に決して屈しないと強く宣言した。

勝敗はもはや意味を成さないし、選手のパフォーマンスや指揮官の采配についても議論されないだろう。まずは試合が無事に終わることが重要であるし、それ以上のことはない。我々の愛する世界は「暴力」や「恐怖」に支配されてはならない。すでにドルトムントとモナコのサポーターは世界中に示したはずだ。我々の愛するフットボールは「団結」と「融和」の象徴だと。

ブラック&イエローの戦士達は、必ず灰の中から蘇る。

クラブ公式声明(意訳)
ハンス=ヨアヒム・ヴァッケ社長
「BVBファミリーは困難な状況を乗り切るとき、特別に強かった。おそらく我々の過去数十年の中でも最も困難な状況かもしれない。だが、我々はこれまでになかったほど結束できると確信している!」

「今日は我々の為だけにプレーするわけじゃなく、みんなの為にプレーする。ドルトムント、バイエルン、シャルカーであろうが関係ない。恐怖と憎悪が、我々の行動を決めることがあってはならないということを示そう。そして、もちろん我々はマルク・バルトラのためにプレーする!彼は我々の勝利を見たいはずだ。」

「ファンの皆様にお願いしたい。90分間全力でチームをサポートしてほしい。チームはこのような想像を絶する出来事を、わずかな時間で消化しなければならなかったんだ。選手が立ち上がることを我々全員がサポートしていくべきだ」

「ドレッシングルームで選手達と話してきたところだ。我々が暴力に屈しないことを社会に示そうと。」

 - 16/17シーズン, チャンピオンズリーグ, ボルシア・ドルトムント ,

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