Borussia Dortmund Magazine

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ウスマヌ・デンベレ、勝利への執念

   

デンベレ

突然ピッチ上に倒れこむと、起き上がることは出来なかった。歩くこともままならず、彼はそのまま担架で運ばれていった。ベンチの傍で毛布にくるまり、マッサージを受けながら戦況を見つめていたのは、この日ヘルタ・ベルリンを得意なドリブルで苦しめたウスマヌ・デンベレだ。

「彼は全身痙攣していたのだが、基本的には回復していた」指揮官は当時の状況を明かす。すでに4人の選手交代を済ませた後だったため、ドルトムントは彼の代役を立てることは出来なかった。延長後半、デンベレはピッチに戻ると、満身創痍の中最後までピッチに立ち続けた。「彼がいたから、おそらく相手選手を引き付けることができたんだよ」とトゥヘル監督は存在感の大きさを指摘している。

勝利への執念

120分では決着がつかず、試合はPK戦へともつれこんだ。驚きだったのは、脚を痙攣させ、限界の近かったはずのデンベレが、ゆっくりとボールを転がしながら現れ、最初のキッカーとしてボールを置いたことだった。プレッシャーのかかる局面にも関わらず、彼の表情はどこか平然としていた。

軽快なステップから大胆にも真ん中に蹴り、キーパーの逆を突く形でゴールを奪うと、淡々とした表情でロマン・ビュルキの方へ駆けていき、お互いの健闘を祈るように拳をぶつけ合った。PK戦はビュルキの活躍もあり、ドルトムントが優位に進めていく。

サロモン・カルーのボールがゴール上に飛んでいき、ドルトムントの勝利が決まると、ブラック&イエローの面々はビュルキの元に一目散に走っていった。しかし、勝利の立役者であるデンベレがその輪に加わったのは一番最後。ふらふらと仲間の最後尾を走っていたその姿は、まるで全ての力を出し切ったように見えた。

試合後、興味深い話をトゥヘル監督は語っている。デンベレに「PKは蹴れるか?」と質問すると、「最初のキッカーを任せてほしい」と自ら志願したことを明かした。「非常に尊敬すべきだ」と指揮官は称賛し、「彼はあらゆる試合に勝ちたいという意欲を持っており、その気持ちに火をつけるんだ」とメンタリティーを絶賛。PK戦で最初のキッカーを拒否する選手も多いが、彼は進んで困難な役割を引き受けた。さらにファンに愛される選手になるはずだ。

彼のプレーは目の保養であり、ボールを持つたびにファンを喜ばせる。それだけでなく、今夜は勝利への執念と、19歳とは思えない傑出したメンタリティーを8万人の観衆の前で披露した。彼がワールドクラスへ駆け上がっていく過程を、我々は楽しめるはずだ。そう確信させる夜だった。

DFBポカール・ラウンド16
ボルシア・ドルトムント 1-1(前半0-1、後半1-1、延長戦1-1、PK戦:3-2) ヘルタBSC

ボルシア・ドルトムント:
ビュルキ;ピシュチェク(46分 ギンター)、ソクラティス、バルトラ;ヴァイグル;ドゥルム、デンベレ、ゲレイロ(77分 カストロ)、シュメルツァー(46分 プリシッチ);ロイス(91分 シュールレ)、オーバメヤン

ヘルタBSC:
ヤルステイン;ペカリーク、ブルックス、ラングカンプ、ミッテルシュテート;シュターク、シェルブレッド(84分 ルステンベルガー);原口(96分 エスバイン)、ダリダ、カルー;イビシェビッチ(60分 シーバー、118分 アラギ)

ゴール:
カルー(27分 シュターク)、ロイス(47分 プリシッチ)

PK戦:
ルステンベルガー ×、デンベレ ◯、ダリダ ×、プリシッチ ×、エスバイン ◯、オーバメヤン ◯、アラギ ◯、カストロ ◯、カルー ×

 - 16/17シーズン, DFBポカール, ボルシア・ドルトムント , , ,

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