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「伝統」と「商業主義」ドルトムントとライプツィヒ-階級間闘争

   

ライプツィヒ

「ブンデスリーガの新たな階級間闘争」とスポーツビルド紙は2クラブ間の戦いをそう煽った。ドルトムントは9月10日にRBライプツィヒとの試合に臨む。新興クラブであるライプツィヒは、文字通りレッドブル社が運営する東ドイツのクラブで、創立からわずか7年でブンデスリーガ昇格を果たした。

レッドブル社は豊富な資金をクラブに投資し、近代的なクラブ施設やトレーニングセンターを設立。さらに今夏の移籍市場には投じた額は実に5000万ユーロ。昇格組にしては破格すぎる移籍金であり、「教授」ラルフ・ランゲニックSDの下で成長を続けている。

100年以上の歴史を誇るドルトムントと、近年豊富な資金で作り上げられたライプツィヒ。相反するクラブ同士の戦いを前にしてドルトムントのファングループはライプツィヒ戦のボイコットを計画している。

「すでに完売」

ライプツィヒに対するアウェイゲームに、ドルトムントのウルトラスやファングループはボイコットするように働きかけたが、ドルトムントファンに用意された4300席はすでに火曜の段階で完売したと発表。彼らの目論見は早くも頓挫したのだろうか?

ドルトムントファンの映画監督であり、ボイコット運動を積極的に推進しているJan-Henrik Gruszecki氏は、このチケット完売について「もちろん完売するだろうと考えていた」と明かし、「東ドイツには多くのドルトムントファンが存在するし、90年代中頃から、ドルトムントは東ドイツであまり試合を行っていない。だからこそ、多くの東ドイツのBVBファンは試合を生で観戦したいはずだ」と理由を述べている。

では、ボイコットしたドルトムントファンはどこに向かうのか。試合の日はバーや自宅で観戦するのだろうか?違う。BVBⅡは土曜に「ROTE ERDE」でウッパータールを迎え、彼らは「最も伝統的な」スタジアムで開催される試合に駆けつける予定だ。ウルトラスやファングループは同じ「BVB」をサポートするという形でライプツィヒへの批判を展開しようと考えている。

ライプツィヒのスタジアムで批判運動をするつもりはなかったのか?と質問が及ぶと、Gruszecki氏は「いいえ。ライプツィヒには行きたくなかったね。建設的な批判でさえ、粗野なセキュリティー達によって抑えられてしまうだろう。他のBVBファンも入場料で彼らとの関係を支えることに同意などできなかった」と説明。確かにライプツィヒに批判的なスタンスをとる以上、スタジアム内で何が起きてもおかしくはない。「ボイコット」という文字だけをとれば過激的な行動であるように見えるが、BVBⅡの応援に駆け付けるという動きは、極めて理性的である。

ドルトムント側の拒否

試合を前にして、ライプツィヒはドルトムントのロゴが入った友好の証としてのマフラーを制作しようとしたが、ドルトムント側は使用を認めなかった。ファン感情を考慮した結果だともいわれている。

ライプツィヒのやり方について、以前ヴァッケ社長は「東ドイツのファンをリスペクトしているが、ライプツィヒのやり方は好きなスタイルではない」と明言し、ファンのボイコット運動について「彼らの権利だよ。私はその決定を尊重する」と理解を示した。

ウルトラス

商業主義

「レッドブルはフットボールをプレーするが、それは製品とライフスタイルを売り込むため。それが我々との基本的な違いだ」とGruszecki氏は嫌悪感をあらわにし、「レッドブルが行った金融ドーピングは、歪んだ競争の形だ」と行き過ぎた商業主義を批判した。

商業主義と伝統は相入れない関係であるのか。ドルトムント出身で、現在ライプツィヒの大学院で教鞭をふるうHenning Zülch教授が、ドイツ通信社の取材に応じている。Zülch教授はライプツィヒ大学院で経営学と会計監査の専門家で、ヴェストファーレン州の大学に通っていた経歴を持ったいわゆる「Dortmunder」である。

「BVBに対するすべての愛情のために、私は全部の議論を聞くことはできないと認めなければならない」と注意を払ったうえで、彼は次のように述べている。

「今やフットボールは巨大ビジネスとなった。ドルトムントとバイエルンの年次報告からもそれは見て取れるはずだ。想像も及ばないスケールで動いているし、そして「伝統的」という意味を持ったクラブは無い:クラブは企業だ。そして市場慣例を直視しなければならない。それはドルトムントだけでなくライプツィヒも同様で、彼らは成功を収めている」

そして教授は、ドルトムントとライプツィヒは経営面では実に良く似たクラブだと指摘している。「ドルトムントは上場会社として、経済的にもサクセスストーリーが構築されている。ビジネスモデル、戦略、優れた若い才能たち、魅力的なフットボール。BVBとライプツィヒの間のトレンドマークは成功を表現している」と答えた。

2000年代中盤の経営危機から、わずか10年で3億ユーロの売り上げを達成するまでに復活を遂げたBVBを成功モデルとして見ており、事実ラルフ・ランゲニックSDは類似性があるとインタビュー内で指摘している。

フットボール文化、クラブと地域、ファンの間での強固な繋がり。そういった感覚が今後も希薄ならば、ブンデスリーガのクラブとしては非常に問題であるが、創立してわずか7年のクラブにそれを要求することできないだろう。

行き過ぎた「商業主義」は多くの批判を招く。ブンデスリーガ昇格を果たした以上、ライプツィヒ、そしてその背後に存在するレッドブル社は慎重に対応し、地域との繋がりをより強固なものにしていかなければならない。

ライプツィヒ、そしてレッドブル社の「野心的なプロジェクト」は、様々な点でブンデスリーガに嵐を巻き起こすだろう。もちろん、多くの議論も。「伝統」と「商業」どちらも軽視するべきではない。フットボールクラブを運営する以上、その両方と手を取り合うことが最も重要なことだ。ライプツィヒ、そしてドルトムントにも求められている。

 - 16/17シーズン, ブンデスリーガ, ボルシア・ドルトムント ,

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